本日の少年A観察日記

朝、久しぶりにダブルに乗って感覚を取り戻そうということで艇庫に来てみたら彼は先についていました。おりこうです。
「おはよう」
「……おはよう」
どうやら昨日から熱があるとか言ってたのもあって機嫌が悪いようです。
触らぬ神にたたりなし。
あまり話しかけないようにしましょう。
でも、今日はとてもとても風の強い日です。さあどうしましょうか。
瀬田川でないと練習できないと思いますが、瀬田川でも下手をすれば白波が立ってそうです。
「風強いけどどうする?」
「……」
軽くスルーです。
何気にひどい扱いです。
「ああ、兄ちゃんたち」
ああっ! そこのあなたは通行人!! 危ないです今の少年Aに近寄ったら!
「そこに落ちてたんやけど、この財布兄ちゃんたちのか?」
小さな黒の財布。もちろん見覚えはありません。二人そろって首をフルフル。
「そうかー。中に鍵入ってるから心配でなあ。悪いけどこれ届けといてくれへん?」
ふう。無辜の民を傷つけることなくすんでよかったよかった。寿命が縮まったぜ。
で、どーしましょこの財布。
「これ、あとで届けとく?」
「ほっといたらええやん」
……はくじょーものー。口には出しませんでしたが。
でもって波で揺れる中、出艇。
いやむしろ波よりも風が問題に。
てか風でオールが返らない!! おまけに変な横揺れで何回も大きく傾いてるし!!
「ちょ、これ無理!! ありがとー!!」
「……」(無言で止まる後ろの人)
……『どうした?』とか聞いてくれないんですね?
会話は日常生活の潤滑油だとおにーさん思うデス。てか後ろから暗いオーラ出さないでください。むしろ暗黒のフォースに支配されないでください。
ともあれ、まともに練習できるコンディションじゃないのでさっさと船を返して戻ることに……
「なあ、お前は今戻るべきやと思う? 俺が決めたらまたヘタレとか言われそうやからな」
……をい。ここで嫌味言うか普通。
というかお前しょっちゅう、
「なあ、○○してもらっといて礼も言わんっていうのはクルーの雰囲気悪くする可能性のあることやからやめてくれへんかな。いや、俺はええんやけどな」
……って言ってませんでした?
まあ、もういいけどね。
「ええと……私としては帰りたい」
「よし、ほなかえろ」
「……参考までに、お前としてはどうやったん?」
「……」
また無視ですか!!
……おにーさん言葉は人間関係を潤滑に(以下略
で、上がってきて。
無言で着替えて。豆乳飲んで。先に着替え終わって待ってた私に向かって
「お疲れ。先行くわ」
……アンタハヒトデスカ?
「待てって。俺も出るわ」
慌てて荷物もって外へ。そこではたと気づく財布のこと。やっぱ交番に届けるべきでしょう。
「やっぱもってくわ」
……で、財布を取ってる間すら待たない少年A。
おにーさん人としてどうかと。
そしてそのまま交番によるのに付き合いすらしなかった彼は、赤本バイトの結果解剖に遅刻したのでありました。
てか、今日はつっこみどころ多すぎるぞ、お前。